IT企業(フィールドエンジニア)から、非IT業界(自動車整備士)に転身した筆者が非IT企業で重宝された、パソコンスキルについて解説します。普段IT業界に身をおいている方からすると考えられない、実際に非IT業界で求められているパソコンスキルの現状についてお話しします。
【ひとり情シス】非IT企業で重宝されるパソコンスキルを紹介 ~環境~
現在、筆者が身をおいている非IT企業はどのような環境なのか紹介します。
自動車ディーラー
筆者は現在、新車の自動車ディーラーで整備士をしています。転職前はIT系の学科を卒業後、フィールドエンジニアとして主にIT機器の保守を行っていました。
プログラミングは学生時代以降行っていなかったものの、サーバーやルーターに投入するコンフィグを書いたりIT機器の設定等を行っていましたので、一通りのIT系知識は有しているつもりです。
一応、一人一台のパソコンあり
自動車ディーラーですが、現在は一人一台パソコンが貸与されており業務用のソフトウェアが動作しています。整備士レベルで言えば、修理手順書の閲覧や見積もりの作成などを専用業務ソフトウェアで行います。
ITリテラシー研修はなし
前述の通り、一人一台パソコンがあり専用の業務ソフトウェアを使用するためそれらの使い方については、ある程度研修もあり自分の業務範囲内であればほとんどの従業員は不自由なく使用できています。
ただし、PC自体のWindows側の設定やワード、エクセルなど業務ソフトウェア以外の範囲の部分を、ある程度触れる従業員はほぼいません。200人程度従業員がいますが、情シス的な役割も兼任社員が1人で行っています。
IT企業では、プログラミング等の業務スキル研修などを行う以前に全社員に対して、ITリテラシーに関する研修等があることがほとんどですが、そのようなものはありません。「変なサイトを見るな」程度に言われている程度です。
これが令和
あたりを見渡せば、業務パソコンでスマホを充電しながら、腰からぶら下げたUSBメモリでデータをやり取りしています。社内では最近導入された、Teamsの愚痴が飛び交っています。
Officeソフトウェアについても、共有パソコンにPersonalがインストールされており、多数の従業員が使用する業務パソコンではExcel Viewer 2007が未だに活躍しています。Officeオンラインが使用できる環境ですが、使い方がわかる従業員は皆無です。
【ひとり情シス】非IT企業で重宝されるパソコンスキルを紹介 ~よくあるヘルプ~
前述した非IT企業でよくある環境に、ある程度パソコンスキルがある人間が登場すると当然ですが、パソコン関連のヘルプが殺到してひとり情シス状態になります。それが筆者です。続いて筆者がよく相談されるパソコン関連ヘルプを紹介します。
圧倒的多数「NumLock」「CapsLock」
何度教えても同じ人に定期的に質問されるのが、やはり「NumLock」と「CapsLock」です。
「数字が打てない」「大文字になる」なんとかしてくれと呼ばれます。
プリンター設定
非IT業界でも、ある程度の大きさの企業であれば多少なりともペーパーレスの波がやってきていると思います。筆者の勤め先でも色々な紙書類が電子化されてきています。しかし、何故か電子化された内容のものを印刷して保管しています。
このような環境で圧倒的に多いのがプリンター関連の相談です。「印刷できない」「両面印刷できない」「用紙の縦・横を設定したい」といった内容です。
更に最近は、Office365が導入されてTeamsでOfficeファイルが共有されたことで、これまでと同じように「ファイル」から印刷できなくなったという相談です。
プリンタートラブル
非IT業界ではプリンターの設定もプリンターの物理的問題も同じIT機器のトラブルです。「プリンターがよく紙詰まりする」「両面印刷したら詰まる」「変な線が入る」少しでもITがわかる人はこれらの問題も解決できると思われています。
画面解像度
非IT業界では基幹業務ソフトウェアとして、古のソフトが使われ続けています。そのため、画面サイズも「1366×768」以外に設定されると正しく表示されないといった問題が多々あります。
意図しない誤操作で解像度や画面の表示倍率を変更してしまい、ヘルプを求められることも多くあります。特に最近のパソコンは解像度が最低でもフルHDですので、これらに関係するヘルプは多くあります。
その他、画面関係
画面解像度以外にも、プロジェクターやモニターにパソコンを接続しているのに同じ画面が表示されない。といった内容も多く相談を受けます。実際には画面が「複製」ではなく「拡張」になっているだけですが、「複製」以外設定できることを知らない人が多数です。
ブラインドタッチ
ブラインドタッチができると重宝されます。特にミーティングなどで議事録を作成する必要がある場合、これまでは手書きで議事録を取ってその後残業してパソコンで打ち直している光景が主でした。
しかし、その中でブラインドタッチができる人材がミーティングでリアルタイムにパソコンを持ち込んで、議事録を作成していくと羨望の眼差しを受けることができます。それ以降、ブラインドタッチができる人はすべてのミーティングで議事録係になります。
【ひとり情シス】非IT企業で重宝されるパソコンスキルを紹介 ~まだまだあるぞ~
前述した内容は非IT業界では非常によくあるトラブル&重宝されるパソコンスキルといえる内容です。次はより細かい内容も紹介していきます。
IE互換性問題
業界にもよりますが、まだまだIEには活躍してもらわなくてはいけません。IEがサポートされなくなり、せっかく先人が作ってくれたIEのショートカットからIEを起動しようとしてもEdgeにリダイレクトされてしまいます。
こうなってしまうと、少しでもITがわかる人材が重宝されます。EdgeのIEモードを設定してあげましょう。
特に自動車業界では、各メーカーの修理マニュアルを閲覧できるシステムがあるのですが、古い車種になるとIEでなければ開けないマニュアルが多々あります。
二段階認証パスワード問題
最近は様々なサービスで二段階認証が求められるようになりました。二段階認証についてはもはや、非IT業界の従業員には手も足も出ません。設定から使い方の説明まですべてを行う必要があります。
マニュアルは読めない
新しいシステムが導入されたり、バージョンアップされたりするとその都度、使い方等のマニュアルが配布されます。しかし、非IT業界に身をおいている従業員からするとIT関連のマニュアルはどれだけわかりやすく書いてあっても読むことはできません。
自動車整備の非常に難解なマニュアルを読めても、Officeはインストールできません。そのため、少しでもITがわかる人材は同じ事務所の同僚のパソコンのセットアップはすべて行ってあげる必要があります。
【ひとり情シス】非IT企業で重宝されるパソコンスキルを紹介 ~欠かせない人材に~
前述した内容はほんの一例です。非IT企業において多少なりともITスキルがある人材は、ありとあらゆるパソコン関連のトラブルを解決することが求められます。
欠かせない人材に
そのような環境下で1年も働けばあなたは立派なひとり情シスです。自分が使うために作ったマニュアルやリストも知らぬ間に、部署全体が使用し始めておりミスがあると何故か詰められます。
ストレスマックス?
ここまで読んでくれた方からすると、この環境に置かれるとストレスマックスになると思われるかもしれませんが、実際にはそこまでストレスには感じられません。
忙しいときに頼まれるとストレスかもしれませんが、大抵はある程度ITスキルがある人間からすると数十秒で解決できる内容です。また、解決するたびに感謝されます。普段の業務で一位になれなくても、この分野では一位になれます。頑張って。