賃貸の「傷をつけることができない部屋」でプロジェクターを天吊り設置する方法を解説します。賃貸だけどプロジェクターを天吊り設置して、快適なホームシアターを構築したい方はぜひ参考にしてください。
【賃貸】「プロジェクター」天吊り設置方法 ~条件~
通常、プロジェクターの天吊り設置といえば、天井に天吊り用の金具をボルトなどで取り付けるのが一般的です。しかし、この方法では天井に穴が開いてしまい賃貸物件には不向きです。まずは、賃貸でのプロジェクター天吊り設置の条件を決めていきます。
穴を開けない
賃貸物件を傷つけると当然ですが敷金が返ってこなかったり、原状回復費用を請求されたりします。そのため、大前提として賃貸物件でプロジェクター天吊りを行う際には、天井や壁に穴を開けることはできません。
身長より高い位置に設置
プロジェクターを天吊り設置したい理由は、映像をなるべく大画面で投影しつつ映像を正面から鑑賞したいからです。また、チェアに座ったり立ち上がったりしたときに自分の影で映像が隠れることを防ぐためです。
そのため、プロジェクターを天吊り設置する時の条件として、自分の身長より高い位置に設置することが条件となります。高い分には取付時に角度調整とプロジェクターの台形補正を使えば、正常な歪みのない映像を映し出すことができます。
よって、プロジェクターを天吊り設置する場所は高ければ高いほど良いといえます。賃貸物件の場合、天井の高さはたかがしれているので、なるべく天井に近い位置に設置できると良いです。
【賃貸】「プロジェクター」天吊り設置方法 ~方法~
賃貸でプロジェクターを天吊り設置する条件を踏まえた結果、これらを満たす条件で設置するには2つの方法があります。一つは「ワイヤーラック」を使う方法、もう一方は「ディアウォール」と呼ばれる器具を使う方法です。
~方法1~ ワイヤーラック
ワイヤーラックを使う方法とは、プロジェクターを天吊り設置したい場所に、前項で解説した条件を満たす高さのワイヤーラックを設置する方法です。
設置したワイヤーラックの棚板部分にプロジェクター天吊り金具を取り付けて、プロジェクターを天吊り設置します。
ワイヤーラックを使うメリット
ワイヤーラックでは、プロジェクターを天吊りする高さや棚板の数を任意に変更しやすいというメリットがあります。
ホームシアターを構築する場合、プロジェクターへ映像を入力するプレイヤーやそれらの周辺機器が必要です。賃貸はそれらの設置方法も限られているため、ワイヤーラックに棚板を追加して、プロジェクターの下段に設置することができます。
また、それらからプロジェクターなどへ接続されるケーブルもワイヤーラックの場合、比較的かんたんに整理することができます。
ワイヤーラックを使うデメリット
ワイヤーラックでプロジェクターを天吊り設置する方法のデメリットとして、方法2で解説する方法と比較して、場所をとるというデメリットがあります。
しかし、その分プロジェクター天吊り部分以外に棚板を設置して収納スペースを作ることができるので、賃貸ではおすすめの方法です。
~方法2~ ディアウォール
ディアウォールとは、2×4と呼ばれる規格の木材を突っ張り棒のようにして天井・壁を傷つけることなく設置できる器具です。
これを使って、壁側に2本木材を立ててその上部にL字ステーを取り付けて、天吊り金具取り付け用の棚板を取り付けることで天吊りを実現することができます。
ディアウォールの場合も、ワイヤーラックのように任意の場所へ棚板を追加できますがワイヤーラックと比較して手間がかかるのと、ケーブリングのしやすさの観点から今回は、ワイヤーラックを使う方法を採用しました。
なお、この方法はスクリーンの設置で採用しました。
ディアウォールを使うメリット
ワイヤーラックと比較して、設置場所の占有面積が少ないことがメリットです。ワイヤーラックの場合、棚板を設置する場合その棚板の面積分部屋が占有されます。ディアウォールの場合、2×4材を壁に寄せて設置するのでその部分のみの面積で済みます。
また、ワイヤーラックの場合、どうしても部屋の中に金属のラックが設置されることがありインテリア的に好みでない方も多いかと思います。ディアウォールの場合は、木材を設置できるため、部屋の雰囲気によってはこちらもメリットになるといえます。
ディアウォールを使うデメリット
ディアウォールはプロジェクター天吊り位置や棚板を任意に追加可能ですが、ワイヤーラックのようにかんたんには追加できません。一般的には高さをきっちり測定して、L字ステーをボルトで固定する必要があります。
そのため、一度棚板を取り付けてしまうと場所を移動したい時、その場所には穴が開いてしまうため、見栄えが悪くなると言ったデメリットがあります。
また、2×4材を入手する方法も検討する必要があります。車があればホームセンターなどで購入して切り出ししてもらったものを自分で運ぶことができますが、通販の場合受け取りやカットの指定で困る場合があります。
【賃貸】「プロジェクター」天吊り設置方法 ~必要部材~
ワイヤーラックでプロジェクター天吊り設置を行う際に必要な部材について解説します。
ワイヤーラック
プロジェクター天吊り設置の土台となるワイヤーラックは、なるべく頑丈で丈夫な製品を選択しましょう。
おすすめはドウシシャのルミナスシリーズです。ワイヤーラックの老舗であり、追加パーツも非常に豊富です。そのため、ベースとなるラックを購入後、棚板を追加したいときや高さを伸ばしたいときも柔軟に対応できます。
今回は、幅61cm x 奥行き46cm x 高さ180cmの「NLH6018-5」をベースにします。
これに天井までの追加支柱を追加しました。
また、移動しないので脚を付属のキャスターではなく円形アジャスターに変更します。
地震対策
今回のような高さのあるワイヤーラックを設置する場合、可能な限り地震対策を行いましょう。ワイヤーラック自身がかなりの重量があるため、倒れてきた場合非常に危険です。
設置したワイヤーラックには、延長用テンションポールと呼ばれるワイヤーラックと天井を突っ張り棒のような形で固定できる器具を取り付けます。
天吊り用金具
天吊り金具は通常の天井に取り付けるものと同様のものを用意します。
ショートパーツ
ショートパーツとは、ボルトやタイラップ、ステーなどの細かい部材です。棚板への天吊り金具取り付けに使用します。
まずは、ステーを用意します。このステーで棚板に天吊り金具を取り付けます。
天吊り金具とステーで棚板を挟み込んで、ちょうどねじ穴が合うようなところを選んでボルト・ナットで固定します。ボルト・ナットは天吊り金具に付属の場合もありますが、セットで購入しておくと便利です。
ステーがずれてしまうと落下の原因となるので、タイラップを使ってステーを固定しておきます。
【賃貸】「プロジェクター」天吊り設置方法 ~施工~
実際に賃貸物件でワイヤーラックを使用して、プロジェクターを天吊り設置してみました。
ワイヤーラック設置
まずはワイヤーラックを組み立てます。プロジェクター天吊り位置以外の棚板は自分が収納スペースとして、使いやすいように設置しましょう。
今回は、プロジェクターの下にプレイヤー、その下段にルーターなどのネットワーク機器を設置できるようにしました。
ワイヤーラックにこれらを設置することで支柱や棚板に沿わせてケーブリングできます。
最上段に天吊り用金具取り付け
ステーなど各種ショートパーツを駆使して天吊り金具をラック棚板に固定します。
テンションポールを取り付けて、地震対策を行ったら完成です。
完成
これで賃貸でプロジェクターの天吊り施工が完了しました。
プロジェクター周りはどうしてもケーブルが多くなってしまうので、このあたりはワイヤーラックをうまく活用してまとめましょう。
使用しているプロジェクターなど
筆者はプロジェクターとして、BenQのビジネス用プロジェクターを使用しています。SVGAのHDですらないプロジェクターのため、画質が良いとは言えませんがビジネスのプレゼンテーション用で価格の割にかなり明るく満足しています。
金銭的に余裕があれば、フルHDや4K対応のプロジェクターを使用したいところですが、SVGAのプロジェクターでも投影してみると、粗さは気にならずに見ることができ満足です。
なお、現在はビジネスモデルでもWXGA解像度のモデルが購入しやすい価格帯で販売されているので、より、画質がよい映像を楽しめます。
映像の美しさや色の再現性にこだわる方はフルHD、4Kプロジェクターを導入し、筆者のようにとにかく大画面の迫力がほしいといった方は、このようなビジネスモデルのプロジェクターも候補の一つとしてありなのではないでしょうか。
ポップコーンも忘れずに!